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今年の岩手訪問を終えて
   スローフードすぎなみTOKYO代表 佐々木俊弥

 9月24日(金)~26日(日)、東北農業研究センターの川手督也さんの運転する車に乗せていただき、花巻、田野畑村、岩泉町を訪れることができました。
 
岩泉、田野畑を訪れるのは、昨年8月に引き続き2度め。昨年出会い、温かく迎えていただいた方々と今年もまた会うことができたことをほんとうに嬉しく思います。と同時に、今年はパイオニア牧場の多田さん、モートンファミリーの穴田ご夫妻等々と新たにお知り合いになる機会も設けていただき、岩手は私のなかで、ますます特別な場所になっていくような気がします。

「スローとはつながり」と辻信一さん(『スロー・イズ・ビューティフル』の著者)は言っています。スローフード運動が一つのご縁で、こうして都会の真ん中に住んでいる人間も、のびのびと岩手のおいしい空気を吸って暮らしている方々とつながることができる、というのは、ありがたいことだと思います。

 農業、酪農業、食品加工、流通、販売に確かな品質と熱い想いを込めて携わってらっしゃる方々と実際に触れ合うことで、自分たちが日ごろ口にしているもののなかにどれほどの努力と苦労がぎっしり詰まっているのか、を実感として感じることができる気がします。
 
そして、岩手という土地を皆さんが愛し、またこの土地からも愛されて暮らしておられるのだな、という印象を強く受けます。
 
多くを望みすぎず、儲けばかりをあてにせず、身の丈に合った暮らし・運動を……ということがスローフード運動の目指す方向性の一つではないか、と思っておりますが、そういう意味で、こちらで川手さんにご紹介いただく方々は、背伸びをせず、自分と周りの人や生き物との関係を大切にしながら日々を暮らしている、そしてそんな人生を楽しんでらっしゃる、ということを強く感じさせられます。

 また、地元で生まれ育った方以外にも、都会から、あるいは別の地方からこちらにやってこられて定着された方もけっこういらっしゃることも、この地の魅力なるがゆえ、なのかもしれません。

 昨年、今年とお会いすることができた田野畑山地酪農牛乳の吉塚さんご一家。千葉から移り住んでこられて20年、お話をお聞きするなかで、ここまでやってこられるにあたりご苦労はひとかたならぬものがあったと思うのですが、「幸いにも土地を見つけることができて、ここまでやってこられた。自分はとても幸せ者だと思います」と語っておられた言葉は、今でも私の心に焼き付いています。

 またご長男が、「自分はこの吉塚の家に生まれて幸せだと思います」とおっしゃった、あの言葉にも深く深く心を動かされました。たくさんのお子さんがおられるなか、どの子も素直で生き生きとしている様子に触れると、人間にとってほんとうに必要なものとは何なのか、深く考えさせられます
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