コミュニケーションを合言葉に始まった我々の世紀は、グローバル文明、スピード文明がもつ問題を、コンピューターと同時に受け継いだ。人々の距離と関係は縮められ、情報網は拡大して行った。 しかし人間は時間の中で生きる必然性と、自らの生活リズムを守る必要性から逃れることはできなかった。 ファースト・フードという問題、それを成立させている状況の問題は、相変わらず手付かずのままである。
規格・標準化された生産と、消費主義を第一に考える工業化された農業経済や、はかない均一化された食への傾向。いまだファースト・ライフというモデルが、生活習慣を左右しつづけ、味覚をないがしろにし、まるで誰にでも同じものを配給するのが当たり前かのごとく、安い値段で食べもの、飲み物を提供しつづけている。
スローな生活という思想を、単に食事を急いでとることに対して反対したり、ファースト・フードに反対するためだけのものでなく、時間の価値が認められ、人間と自然が尊重され、喜びが存在理由となる世界を守るために発展させて行かなければならない。
これらのテーマは、我々の運動当初から国際的評価を得たが、これからはすべての国に、すべての文化へ広めて行かねばならない。
動植物の絶滅と戦うために、生物多様性をまもるために、農村文化が遺伝子操作技術の犠牲にならないよう、食に関する伝統技術と知識が失われないよう、そして共生の場が失われないよう、スローフードとともに食卓からはじめよう。
食の知識を得ること、食がもたらす価値ある喜びを享受するということは、今では投げ売りされる危機にある遺産が、失われやすいものであることを認識し、それを保護することを意味する。つまり動・植物種と、生産物、料理、食物を守り、援護することである。
協会の教育プログラムによって、感覚と物質を関係づける方法論によって、そして人々の中に大いなる豊かさをはぐくむ多様性によって、スローフードは農業から食文化まで、あらゆる領域を網羅する前衛運動である。
スローフードはすべての言語を話し、より良い未来を約束する。
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